チロルのブログ

平凡な主婦が時に役立つこと、時にあまり役立たないことを綴ります

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親にかけられた洗脳と後遺症

私の母の口癖は「うちはお金がない」でした。

事あるごとに「うちにはそんなにお金がないから~うんたらかんたら」

と常に口にしていました。

親が常に口にする言葉って、子どもにもしっかりと受け継がれて

いくんですよね。

だから私も本気でそうなのだと思っていました。

 

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親子

外の世界を知らない

子どもが小さいうちは、自分の過ごしている世界が

この世のすべてだと思いがちです。

かく言う私もそうでした。

だから「うちにはいつもお金が無い」のだと本気で思っていました。

よそのお家を知らないので、親がそういえばそうと思う以外ありませんでした。

例え知ることが出来ても、母にはそれをねじ伏せる言葉を持っていました。

それが、

「よそはよそ、うちはうち」。

 

私には長らく、よその世界を知る機会が訪れませんでした。

というのも、今はすべて取り壊され跡形もなくなりましたが、

当時は父の勤める会社のマンモス社宅に住んでいました。

同じ小学校に通う生徒の半数近くが同じ社宅の子でした。

中学校は更に社宅の子供の割合が増え、

どこのお家のお父さんも同じ会社に勤める人ばかり。

だいたい、似たり寄ったりの生活だったので、

そこまで深く考えることがありませんでした。

その中でも、群を抜いてお金が無いのが我が家なのだという認識でした。

 

思ったことを口にできない

母と買い物に行っても「うちにはお金がない」というのが常に

頭の中にあるので、どんなに欲しいお菓子があっても

「これ買って」の一言が言えませんでした。

 

今でも忘れられないエピソードが一つあります。

それは、小学校の遠足の時でした。

当時5年生だった私。

リュックは持っていましたが、持っているリュックは1つだけ。

それも1年生の時から一度も買い替えてもらったことがありませんでした。

当然、私の背中にはとても小さく明らかにサイズ違いの

リュックがありました。

毎回使用するたびに、小さいなと思っていましたが

母には言い出すことが出来ませんでした。

ある時、クラスの男子から「お前のリュックおかしくない?」

と言われました。

別に意地悪で言ったのではなく、気になった程度だったかも知れませんが

私は恥ずかしすぎて泣きそうになったのを覚えています。

 

他にも、上靴が小さくなったことや新しいノートや鉛筆が欲しいなど、

学校で必要とされているものも、

なかなか買って欲しいということが出来ず、

時々、懇談会などで先生が母に言ってくれて購入してもらうことがありました。

 

どうにかするため働く

私は、せめて自分の欲しいもの、必要なものは自由に手に入れたい。

と思うようになりました。

そして、高校生になったらすぐに働き始めました。

私が進学した高校はアルバイトは認められておらず、

周りの子は誰も働いていませんでした。

それでも、先生に見つからないように。

高校生からでも働ける場所を必死で探し働くようになりました。

周囲よりも早くから働き始め、自分に必要なものは

自分で購入するようになりました。

 

アルバイトを通して知る外の世界

スーパーでアルバイトをしていた時のことでした。

一緒の職場の男性が私に話しかけてきました。

「君って○○からきてるんだってね。○○ならお父さんは

○○ってところで働いてるってこと?」

と尋ねられ、

今なら個人情報だ。

とか

親の働く会社を気軽に口にすることは憚られますが

当時は周り皆が社宅の子であったので、気にすることなく

「はい。○○です」

と答えると、

「うわ~。すごいね!!俺もそこに就職したいと思ってるんだ」

と。

一瞬何を言っているのか分からず、

「そうなんですね~」なんて答えたのですが、

全く持って理解が出来ませんでした。

 

こんなに窮屈な暮らししかできないのに

あの会社で働きたいの??

としか思えませんでした。

けれど、少しずつ社宅の子以外のつながりが出来ていくことで

外の世界知ることが出来るようになりました。

 

かけられた洗脳はなかなか解けない

私が成人して少しして、父の年齢が社宅の制限に引っかかって

家族全員が社宅から引っ越すことになりました。

家は祖父の家を譲り受けたので

改めて家を建てることはしませんでした。

けれど、今の両親の暮らしを見る限り

余裕があるわけではないけれど、

ごく普通の暮らしをしています。

一体、母は何が目的でそんな事をずっと言っていたのでしょうか・・・

別に借金返済に追われていたわけでもあませんでした。

 

もしかすると、母の生い立ちが関係していたのかも知れません・・

 

残された後遺症

 

社宅を出てから私は一人暮らしをしたり

時には実家で暮らしたりをしながら、

結婚して今の暮らしになりました。

 

私には「お金が怖い」という後遺症が残りました。

沢山持っていると悪い事をしているような気になってしまいます。

お財布にも余計にお金を入れることはありません。

そんなスリルも、そんな生活もしたくないのに

何故かいつも財布の中が寂しい。

支払額スレスレしか持っていないこともしばしば。

全然生活費を貰ってないなんてことはなく、

夫なりの精一杯の額を毎月きちんと貰っているのに、

持っていたら怖いので、持っている分使ってしまうんです。

 

有難いことに、

結婚前に夫が私に家計を任せたいと話してくれました。

けれど、丁重にお断りし、私はもらった分の生活費でやりくりするように

しています。

余分に持たされれば、持たされた分すべて使ってしまうので

貯蓄なんてきっとできないので・・・

夫は私とは正反対の性格で慎重にお金を使う派なので

家計を任せても安心です。

 

もう二度と同じことはしない

 

今度は私が母親という立場になりました。

私は母と同じ口癖は絶対に使わないようにしています。

もし、子どもの望むものが予算オーバーなら

頑張って収入を増やす努力をしたいと思います。

お金って日常生活に密着していて、とても大切なものですよね。

おかしな先入観を持たせないようにしたいと思っています。

先日、子どもが

「ママ、上靴が少し小さくなってきたみたい。

 新しい上靴が欲しいんだけど、次は違う色がいい♪」

と私に言ってきました。

なんだか、ジーンと嬉しくなりました。

あぁ、私は母とは同じ子育てをしていないんだな。

という証というかそういったものを、子どもから

貰ったような気がしました。

勿論返事は

「次のお休みに一緒に買いに行こうね♪」

です。